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月親 2021/11/16 公開 2021/11/16 21:55 更新
菫が転生したのは、前世でプレイしていたファンタジー系乙女ゲームの世界だった。
ゲームが始まる学園の入学式で記憶が戻るという、テンプレ展開から始まった悪役令嬢ヴィオレッタの人生。しかし菫は、この悪役令嬢が悪役令嬢未満なことも思い出す。
ヴィオレッタは菫が推しだった攻略対象、リヒト王子の筆頭婚約者候補。そのためリヒト王子のイベントで、ちょいちょいその姿を見かけるキャラであった。
だが見かけるだけ。あくまで見かけるだけ。ヴィオレッタは作中でまったくヒロイン――モニカに絡んでこない。意地悪は当然、嫌味や悪口も一切言ってこない。
空気のように存在し、あげくリヒト王子ルートのラスト付近では、「自分も好きな相手がいるから身を引く」とさっさと退場する始末。
菫は思った。ヴィオレッタには、悪役令嬢にありがちな断罪回避のための画策や破滅の恐怖に怯える必要がない代わりに、改変するべきストーリー自体がないのだと。つまりヴィオレッタになった自分が彼の筆頭婚約者候補から外れるのは、不可避なのだと。
それならいっそ、ヴィオレッタが口にした「好きな相手」とやらを探してみようか。
そう考えた菫だったが、モニカと恋愛が始まるはずのリヒト王子の様子が、どうもおかしくて――?
※この作品は、アルファポリス様・ベリーズカフェ様でも公開しています。
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