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水野虹仁 医療系異世界恋愛ファンタジー 2026/09/13 公開 2026/09/13 20:29 更新
ヴァルド侯爵家の次女・エレナは、生まれつき「体炎最弱」と診断されてきた。魔法がほとんど使えず、疲れやすく、社交界では「欠陥令嬢」と陰口を叩かれていた。炎診院を訪れたのも、「どうせまた同じ診断を言われる」という半ば諦めた気持ちからだった。
しかし炎診師のカイル・アルノは、診察を始めてすぐに「待て」と言った。過去の診断書を全部見せるよう求め、一時間かけて読み込んだ後で言った。「これは全部、誤診だ。消えているのではなく、眠っている。あなたの体炎は、休眠状態だ」
原因は十歳のときの大病だった。体炎が自己保護のために休眠モードに入り、そのまま十年間眠り続けていた。「体は間違えていない。正しく自分を守った」というカイルの言葉が、エレナの何かを変えた。
一ヶ月の準備期間を経て、賦活施術が始まった。回を重ねるごとに、少しずつ体が変わっていった。疲れの質が変わる。回復が速くなる。施術後にカイルと話す時間が、静かに積み重なっていった。
最終施術の夜、深部の体炎に到達したとき、エレナは十歳の夜の記憶に触れた。カイルが「大丈夫だ。もう、守らなくていい」と言った瞬間、休眠していた体炎が一気に解放された。エレナの体から光が溢れた。「これが、あなたの本当のエネルギーだ」
覚醒後の体炎ランク測定結果はAランク相当。最弱から最高位近くへの大逆転。婚約を見送っていたクラウスが戻ってきたが、エレナは初めて自分の意志ではっきりと断った。
三ヶ月後、カイルが言った。「最初に「あなたのエネルギーが足りていない」と言ったとき、正確には嘘だった——あなたのそばにいると、私の体炎が余計に動く気がする」
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