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浮夜海月 2026/03/11 公開 2026/03/17 19:29 更新
王女が魔法書を食べていた。
比喩ではない。本当に食べていた。
王立図書館司書のリュドヴィックはひょんなことから新設する魔法書専門図書館の館長兼王女の従者に任命される。魔法書好きの王女に仕えられるなんて願ってもない栄転――のはずだった。
「魔法書はおやつには入りません」
「味見しただけよ」
「半分なくなってますが」
「美味しかったの」
エレオノール王女は、普通の食べ物の味がしない代わりに、魔法書だけが美味しく感じられる特殊な体質の持ち主だった。
魔法書を守りたい司書と、魔法書を食べたい王女。相性最悪のはずが、リュドヴィックの書く写本が「出来立てのスフレの味がする」と王女に絶賛されたことから、彼はいつの間にか王女専属の料理人(本人は司書と主張)になってしまう。
今日の献立は焼き栗(火属性魔法)、凍った白葡萄(水属性魔法)、デザートはアップルパイ味の光属性治癒術。
これは、魔法書のフルコースで王女のお腹を満たす司書と、食べた魔法で何でもできてしまう最強のお姫様が、誰にも言えない秘密を抱えながら送る、ちょっとおかしな主従生活の物語。
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