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いりいゆうん 2022/08/12 公開 2022/08/12 21:00 更新
砂漠の大商人ラジドは、隊商を率いて旅をしていた。
ラジドは旅の途中、サーリムと名乗る青年と黒狼のアイシャに出会う。
サーリムは食料を分けてほしいといい、その代わり、ラジド達に水を呼ぶとという。
ラジドは半信半疑でその提案を受け入れる。すると、サーリム青年は砂漠に大きな水場を出現させたのだった。
その日、ラジドはサーリム達に食事を振る舞い、くつろいだ夜を過ごした。
サーリムは、神様に願いを届けてくれる「星の降る井戸」を探しているという。ラジドにもその場所を尋ねるが、ラジドも知らないとしか答えられなかった。
落胆顔のサーリムにラジドは昔話として、ある姫君と若者の悲恋を語り始めた。
政治の思惑で、他国へ嫁がされる姫君を許嫁であった若者が送り届ける。
その旅の途中、姫君が逃げ出してしまう。皆は姫君と若者が駆け落ちしてくれることまで願ったが、
二人は砂漠で『星の降る井戸』を見つけ、互いの立場で生きることを決め、互いの幸せを井戸に祈るのだった。
祈りは天に届けられ、天は真摯な若者の願いを聞き、若者に願いを届ける星を要求し、若者は自分の右目を差し出すのだった。
彼らの願いが成就したのかは、わからないとラジドは物語を終える。
サーリムは消沈するも、旅を続けるという。
ラジドは、サーリム達に自分の屋敷を尋ねるよういい、身に着けていた頭巾を与える。
その時、サーリムはラジドが隻眼であることに気付くのだった。
ラジドは、サーリム達を見送り、再び旅を続けるのだった。
※初稿は「コスモス文学 No.143」(1995年)に掲載されました
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