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修羅観音 2026/04/04 公開 2026/05/17 23:18 更新
現代社会において徹底的に忌避されながらも、人々の底知れぬ好奇心の対象である「死」。政府は、その禁忌を究極のエンターテインメントへと昇華させた国家プロジェクト**「死者選定」**の施行を宣言した。閉鎖空間に集められた男女が、互いに「誰が死ぬべきか」を選別し合うという狂気の儀式に、日本全土は異常な熱狂に包まれる。
漆黒の施設「セレクション・タワー」へと強制的に連行されたのは、年齢も境遇もバラバラな七人の生贄たちだ。虚飾の成功から転落した元詐欺師の慎介、傲慢な若手コンサルタントの智弘、冷酷なIT企業経営者の義彦、執念深い工場お局の幸子、威圧的な不良少年の翼、そして虐待と迫害に心を閉ざした美少女・鶫。その中で異彩を放つのは、過酷な人生を歩みながらも穏やかな笑みを絶やさない謎の男・彼岸であった。
白磁の壁に囲まれた無機質な円卓の間で、彼らの前にモニター越しに現れたのは、憤怒の閻魔大王の面を被った謎の女**「閻魔」**だ。彼女が告げたルールは、あまりにも残酷で甘美なものだった。七人は施設内で共同生活を送りながら互いを観察し、中間選定と本選定を経て、最終的に一人の「死者」を選び出さなければならない。選定によって命を落とした者の家族には、国家から**十億円**という莫大な報奨金が支払われ、生き残った者は速やかに解放されるという。
提供された個室には、互いの隠された経歴や素行を記したプロフィール冊子が用意されていた。自己紹介の内容と事実に齟齬があれば、それは絶好の「死の理由」になり得る。誰の命が十億円という価値に相応しいのか、あるいは誰を排除すべきなのか。提示された巨額の報酬は、生存本能とどす黒い殺意を呼び覚ます呪いの言葉へと変わる。
逃げ場のないタワーの中で、七人の間には昨日までの他人を「排除対象」として認識し始める悪意が伝染していく。全世界が注視するカメラの前で、人間の醜悪な本性と命の尊厳を天秤にかける、血塗られた選別劇が今、幕を上げる。
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