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一之森 一榎 2025/04/24 公開 2025/07/23 07:11 更新
行きはこいこい、帰りは来ない。
――ここは、願いの牢獄だ。
この学苑の秩序を支配するのは、花札による《仇討ち》だった。
“仇”と呼ばれるのは、生徒たちの奥底に潜む願い。
勝てば願いを喰らい、負ければ心や存在を削られていく。
記憶を失った俺・深見名取は、自分が教師だったことだけを覚えていた。
理事長は告げる。この場所に来た理由は――
「誰かの命懸けの願い」だということを。
“恩師に、もう一度会いたい”
その一心で、何人も地獄に堕とし、犠牲を払った生徒がいると。
やがて、俺は知る。
ここにいる生徒たちもまた、それぞれの“仇”を胸に、必死で生き延びていることを。
彼らは弱さを隠し、願いを守るために札を切る。
だが、それは同時に、誰かの願いを踏みにじることでもあった。
――誰もが、誰かのために刃を向けている。
俺は「この地獄で、せめて誰かを救えるなら」と、花札に挑む。
青秋学苑に、新しい季節が訪れる。
これは、花札と願い、そして贖罪の物語。
そして、問いはただひとつ――
勝って叶えるのは、誰のための“願い”か。
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