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碧海 朔 2025/12/26 公開 2026/09/25 06:00 更新
【あらすじ】
テオドールの義姉は、滅びた国の王女だった。——彼がそれを知るのは、戦争が始まってからのことである。
テオドールは、山と海に抱かれた自由都市アードラズベルク、ファルケンハイン商会の末子。剣聖と呼ばれた父を持ちながら、剣より先に「約束の守り方」を覚えて育った青年である。 二十年前、帝国は隣の大公国を一夜で焼いた。人々はあの夜を「炎の夜」と呼ぶ。生き残った街は、剣ではなく商いと技術で生き延びてきた——帝国が二十年ぶりに大軍を南へ向けた、その日までは。
守るべきものは、多かった。砲声の下でも菓子を売り続ける市場。夜も灯りの消えない工房。救護院で包帯を巻き続ける、義姉。——その全部を守る戦いの先頭に、テオドールは立つことになる。
帝国は、強すぎた。だから街の人々は、賢くなるしかなかった。商いで、技術で、約束で。 ——そうして気づいたときには、彼らは戦争のやり方どころか、国の作り方まで覚えてしまっていた。
これは、圧政に学んでしまった民衆と、一人の青年が、義姉の失われた祖国を取り返し、自分たちの国を作るまでの、長い長い物語である。
【世界観紹介】
大陸の北半を征する軍事大国「帝国」と、その南端に残された自由都市アードラズベルク。
二十年前の大公国滅亡以来、両者は「戦争ではないことになっている戦争」を続けてきた。
帝国が禁忌として封じた精霊術と、勃興する蒸気機関。二つの力が交わるとき、戦場は陸から海へ、海から政治へと広がっていく。
守るのは、傭兵あがりの老将たちと、商会の帳簿と、名を呼び合う兵たち。
やがて戦いは「国を作る」戦いへ──空の玉座をめぐる物語が動き出す。
【登場人物】
テオドール……ファルケンハイン商会の末子。主人公。
「約束を守る」ことに命を懸ける青年将校。
戦場では冷静な指揮官、家では義姉に敵わない弟。
アルモナ……テオドールの二歳上の義姉。
救護院の中心人物で、街いちばんの説教上手。
恒例の問答「戦が終わったら?」への答えは、いつも「焼かれた村に、図書館を」。
ジャン=リシュアン……帝国の若き元帥。テオドールと同年代の、作戦の天才。
敵ながら捕虜を殴らせない男。敵将としてではなく、好敵手として物語に立ち続ける。
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