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はらけつ 2024/04/06 公開 2024/04/06 09:57 更新
「木鉢に金継ぎするんですか?」
「はい、もう使わないので、金継ぎして下さい。
ちゃんとして、記念に飾っておきたいんです」
「山背ですが、修理した鉢をお持ちしました」
「こちらこそ、ありがとう御座います。
確認しましたんで、『たとえ水を入れても、漏れない』、と思います」
初瀬は、不思議そうに小首をかしげると、眼をいたずら小僧っぽく輝かす。
「では、試してみましょう。
ちょっと、お待ちになってください」
「えっ?」
水指の、あるべきところ。
水指のある位置に、鉢がある。
功治が金継ぎした、あの木鉢。
鉢が水指として見立てられて、使用されている。
「はい。
本当に水漏れせえへんか、試させてもらいました」
「いや、使ってくれはって」
「はい?」
「やっぱり、こういうもんは、『使われてナンボ』やと思うんで、
記念に飾るだけのもんにせず、ちゃんと使ってくれはって、
『嬉しいな』、と」
「こうすることによって、物も、寿命が延びるんですね」
初瀬が、感心して、言う。
「いや、物だけやないです」
功治が、初瀬の言を、引き取る。
初瀬の眼に、?が浮かんだので、言葉を続ける。
「人間も、です」
「人も」
「はい。
金継ぎして生きていくというか随時補修して生きていくというか、
『だましだましみたいに生きてっても、ええんちゃうか』、と」
「はい ‥ ?」
「う~ん ‥
‥ 例えば、ここに、六十歳過ぎの、癌の患者さんがいはります」
「はい」
「治療しても、そのままの生活スタイルだったら、
一番可能性の高い生存期間は、五年です」
「はい」
「でも、一方、今までの生活スタイルを見直し、
だましだましでも現状の身体に沿った生活スタイルに改めたら、
生存期間は、二十年になります」
「はい」
「片方は、六十歳後半で死ぬ確率が高いですが、
もう一方は、八十歳過ぎで死ぬ確率が高くなります」
「それって ‥ 」
「一方は、「早死に」って言われかねないでしょうけど、
もう一方は、平均寿命なんで、
換言すれば、『「天寿を全うした」と言ってもいい』、と思います」
「ああ、なるほど」
「だから、「だましだまし」と言うと、ネガティブなイメージがありますが、
金継ぎとか補修する感じで、
人生を『随時、見直すイメージ』でいたらいいんじゃないか、と」
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