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多真樹 2026/11/06 公開 2026/11/06 04:40 更新
目の前に見えている光景が、まごうことなく真実だと誰が証明してくれるだろう――
たとえばそう、事故が多いと噂になっている交差点の真ん中で、誰にともなくニタニタと血みどろの腕を振って笑う死霊。
曰く付きの古びた日本家屋の窓から、白くおぞましい数の腕が生えている様子。
何の変哲もないマンションなのに幽霊が列を作り、その先で大口を開いた死霊が霊たちを喰い散らしている。
そんな日常とかけ離れた光景が僕には視えた。視たくもないのに見せてくる。
視えないものにほとんど害のない死霊たちは、しかし視える人間には危害を及ぼす。
寂しいから声を聞いてほしいのかもしれない。生前の後悔を誰かに果たしてもらいたいのかもしれない。
しかし、顔や体が崩れ、もはや人間の体をなしていない死霊たちに心から寄り添える気がしない。
むしろ情をかけてしまったら最後、身体を乗っ取られる。
視えない人間には触れられない霊界を漂う彼らは、視える人間の霊力には触れられる。
死霊は菌を保有するネズミみたいなもので、その幽体は呪詛で凝り固まっている。
特に意思疎通の取れない、人の形をしていないやつはやばい。
触れたら最後、残穢をもらう。
体が腐食するような恐怖が待っている。危険が危ない。
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