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臥裳斗真 2026/10/08 公開 2026/10/08 18:55 更新
「何分ほどのご予定でしょう」
卒業祝賀会の壇上で、王太子が突然始めた悪役令嬢への公開断罪。
普通なら息を呑むところだが、司会を任された放送委員ミレイ・ハーグローヴが真っ先に気にしたのは、進行表だった。
学院長挨拶まで、あと四分。
しかも今夜の司会を無事に終えれば、宮廷儀典局への推薦が待っている。
断罪など、予定にない。
ならば早く終わらせるしかない。
「持ち時間は十五分です」
そうして始まったのは、王太子による断罪――のはずだった。
階段からの突き落とし。
切り裂かれた衣装。
脅迫めいた書簡。
焼かれた教本。
証拠は揃っている。
被害者もいる。
悪役令嬢はろくに弁明しない。
なのにミレイが、司会として一つずつ順番を確認していくと、話が妙な方向へ転がり始める。
「押すところは、見ましたか」
「その小刀、本当に公爵令嬢の物ですか」
「書簡の続きはございますか」
見たこと。
聞いたこと。
誰かから聞いて、そうだと思ったこと。
それらを分けていくだけで、会場の空気は少しずつ変わっていく。
しかも、確認すればするほど厄介なのは、誰か一人だけを悪者にして終われる話ではないことだった。
王太子にも言い分がある。
被害を訴えた少女にも嘘ではない痛みがある。
悪役令嬢にも、黙っていたことがある。
そして最後には、司会をしていただけのミレイ自身まで、断罪の輪の中へ引きずり込まれていく。
押し時間、二十七分。
公開処刑は、予定どおりには進まない。
そしてミレイは最後まで、「確認しただけ」でいられるのか。
公開処刑、進行が雑すぎます。
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