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根岸重玄 2018/09/17 公開 2026/09/17 08:50 更新
2036年。魔術師を公的に育成・管理する行政特区「浅木」。
記憶のすべてを失った少年・天乃慎が目覚めて知ったのは、自分がこの街でただひとつ、「魔術を使えない者」だけを集めたクラスに所属しているという事実だった。理由も経緯も、彼自身には何ひとつわからないまま、彼は非日常へと放り込まれる。
この街の人間は、誰も彼も、どこかで何かを偽っている。
本当の名も出自も明かさない誰かは、いわば偽者。本物とは別人。
互いの姿を入れ替える誰かたちは、まさしく双子。本物と共に生まれた。
本音を押し殺し、偽りの感情で日々を過ごす誰かは、いわば代替。本物の代わりとなる。
いくつもの顔を使い分け、様々な組織に身分を偽って潜む誰かは、いわば擬態。本物の振りをする。
そもそも身体すら本物ではない誰かは、いわば似非。本物と似て非なる。
見た目が真実を裏切る誰かは、いわば幻影。本物の幻である。
魔術師であると偽る誰かは、いわば合同。本物と同じ形をしている。
失敗をなかったことにするための誰かは、いわば予備。本物の補填である。
そして、やがて天乃自身もこう名指しされることになる。「お前は、本物に迫る贋作だ」と。
誰も彼もがニセモノのこの世界で、その誰かが目指すのは至高にして理想の展開――たとえ幾度試行しようとも、そこに至るまで理想が潰えることはない。
【当作品は カクヨム、Solispia、原石航路 にも掲載されています。】
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